精子がいないけど子供が欲しい

~非閉塞性無精子症と戦う夫婦の記録~

■13. 手術の様子と親への報告

手術から帰宅した旦那に、改めて詳しく話を聞いた。
 
手術は、局所麻酔で行った。
「痛いと思ったらすぐに言った方がいい。
自分は麻酔を追加してもらった。」
と旦那が言っていたので、もしこれから手術予定の方は参考までに。
 
睾丸を開けて、精細管を取り出し、取り出したものをすぐに確認して精子(細胞?)の数と思われる数字を読み上げる。
この作業を10回ほど繰り返し、手術は終了した。
 
 
そして翌日、
採取できた精子については、動いているのもいる為大丈夫だという報告を受けた。
 
ちなみに、非閉塞性無精子症はちょっと前なら、なす術がないものだったらしい。
ありがとう、偉い人。
 
術後は、しばらく痛そうではあったが
幸い休職中だった為、家でゆっくり過ごした。
日帰り手術とはいえ、働いている人は2、3日休みを取った方がいいように思う。
 
 
次の治療に進めるようになり、そろそろ私の両親にも話をする事にした。
母に連絡をして、顕微受精になることと、授かれるかはわからないということを話した。
 
「どっちが原因?」
と母は聞き返してきたが、
「その質問は事務所NGなんで」
と冗談ぽく返しておいた。
 
その返しで察したかもしれないけど。
もしも授かれなかった時に「旦那のせいで出来なかった」という気持ちにはなりたくないし、親にもそう思って欲しくないから濁しておいた。
 
それから、会社にも報告した。
これから不妊治療で勤怠に影響が出るという事を伝え、快く了承してもらった。
 
旦那の手術は終わり、報告すべき人には報告した。
次は私が頑張る番だ。
 
 

→■14. 凍結精子の運搬

【無精子症闘いの記録 目次】

■12. TESE手術と手術結果

2018年7月
 
ついに手術の日を迎えた。
私は仕事があった為、旦那一人で病院に向かった。
 
手術は、MD-TESEと呼ばれるもので
睾丸を開き、精細管という組織を取り出すという内容。
 
お昼に旦那からLINEが届いた。
 
「手術おわった」
 
それから、手術時の様子が続けて送られてきた。
 
精子はいたのかの報告は送られて来ない。
精子がいるか顕微鏡で確認しながら手術すると言っていたので、すぐにわかるはずである。
 
精子はいた?」
その一言は打つ事が出来ないでいた。
 
しばらく手術の話が続いた後に、それはなんの前置きもなく送られてきた。
 
 
 
「ちなみに精子はいました」
 
 
 
突如画面に表示されたその一文を見た瞬間に涙が溢れてきた。
きっと見つからないと諦めていた。
この数ヶ月、ずっと抑えていた感情が解放された気持ちだった。
 
まだ諦めなくていいんだ。
良かった…。
本当に良かった。
 
精子が分かってから、一度も涙は出なかったのに、自然に涙が溢れた。
でも、まだスタート地点に立てただけ。
本当にここから。
休憩室の隅っこで一人涙を拭いた。
 
 

→■13. 手術の様子と親への報告

【無精子症闘いの記録 目次】

■11. 手術1ヶ月前

手術まで1ヶ月。
旦那が実施したことは、引き続きサプリとナッツとアセロラジュース。
食事は、私がいつもより少し作る物を気をつけた程度。
 
あとは、旦那が転職の関係で睡眠時間が増えた。
そのくらいだろうか。
 
精子が見つかる可能性30%
 
30%という確率の低さに、見つからないだろうな。
そんな気持ちしか湧かなかった。
 
親や親戚にはなんて言おうかな、とか。
美味しいものをたくさん食べに行く人生にしよう、とか。
犬を飼いたいな、とか。
 
そんな事を考えていた。
 
 
精子が見つからなかったらどうする?」
 
ある日旦那が私に問いかけてきた。
どうするってどういう意味だろう。
 
2人だけでどのように生活していく?という意味だろうか。
それとも、
他に子供を授かる方法を模索する?という意味だろうか。
 
きっと後者を言っているんだと思った。
「どうするって?養子とかってこと?」
 
「うん」と旦那は言った。
 
その頃、宝塚の瀬奈じゅんさんが特別養子縁組みをしたと、よくテレビに出ていた。
それを見て、意識したことはあった。
 
養子で授かった子供を、実子と全く変わりなく育てる事ができるだろうか。
もちろん、全く変わりなく育てている人はたくさんいると思うし、否定する気は100%ない。
 
自分はどちらの人間なのかである。
きっと出来る気がする。
実際に育ててみないとわからない。
自分に責任を背負う覚悟があるのか。
いろんな気持ちが交錯した。
 
「ダメだったら、その時考えよう!」
 
そう答えた。
でも、自分の中で答えは出ていた。
 

→■12. TESE手術と手術結果

【無精子症闘いの記録 目次】

■10. ホルモン/遺伝子検査結果

2018年6月
 
先日のホルモン検査と遺伝子検査の結果を聞きに、男性不妊のクリニックに向かう。
 
ここを超えられなかった時点で、全ては終了する。
旦那が診察室に呼ばれ、検査結果を手に戻ってくる。
 
「遺伝子検査、問題なかった」
染色体異常なし。
 
良かった。
これで次に進める。
 
ホルモン検査については、精子を作ろうとしている数値が基準値より高く、
簡単にいうと、頑張ってるんだけど、作れていない状態とのこと。
 
上からの指示は出てるけど、現場が動かないみたいな感じだろうか。
 
手術で精子が見つかる可能性は30%と宣告された。
手術については、約1ヶ月後になった。
 
手術という事で、旦那の実家にだけ先に電話で無精子症の事を報告する事になった。
 
私の実家には、私の希望で、手術の結果が分かってからにしてもらった。
 
義理母は、あまり驚いた様子は見せなかった。
子供が出来ない可能性がある事について、お母さんたちの事は気にしなくていいから。
そんなニュアンスの事を言っていたそうだ。
 
 

→■11. TESE手術1ヶ月前

【無精子症闘いの記録 目次】

■9. 非閉塞性無精子症の診断

2018年5月
 
紹介してもらった男性不妊専門のクリニックは、家から電車で1時間程の所にあった。
二人で電車を乗り継ぎ向かう。
 
クリニックに着いて、旦那だけが診察室へ。
長いこと待っていると、旦那が戻ってきた。
 
色々検査をしたようで、わかった事を教えてもらった。
・精液検査をしたけど、やっぱりゼロだった。
・精液量とか、睾丸の大きさは問題ない。
・閉塞性無精子症ではない。
 
「閉塞性無精子ではない」
つまり、非閉塞性無精子症ということ。
精子の生産自体に問題があるということ。
その言葉から、希望が断たれた気がした。
 
旦那は話を続けた。
 
手術をして睾丸を開ければ、精子がいる可能性はある。
でも、それは開けてみないとわからない。
 
手術を受ける人は、その前にホルモン検査と遺伝子検査が必要で、
遺伝子などに問題があったら、もうそこで手術は受けられない。
その検査は8万かかるらしくて、相談して決めると伝えてある。
次回来院時にどうするか回答する事になったけどどうする?
 
多分旦那は、8万という高額な金額の為、相談しなきゃ!
と持ち帰りにしたのだと思うが、わたしの気持ちは決まっていた。
 
「後悔したくないからね」と答えた。
 
例え精子がいなかったとしても、やらなかった事が一生のしこりになるのは嫌だ。
 
今日、その検査ができないのか旦那に聞いた。
 
「多分言えば出来ると思うけど、僕もう片腕採血しちゃった」
 
大丈夫、大丈夫
腕はもう一本あるからね( ^ω^ )ニコッ
 
そう促し、ホルモン検査と遺伝子検査の為の採血をしてもらった。
両腕採血された姿を見て、二人で笑いながら帰宅した。
 
検査結果は後日である。
 
 

→■10. ホルモン/遺伝子検査結果

【無精子症闘いの記録 目次】

■8. ARTクリニックへ

2018年4月
 
ARTクリニック予約日。
2人でクリニックに向かった。
入った瞬間、前の婦人科と全然違う…!という印象を受けた。
 
無精子症が発覚した小さな婦人科は、本当に小さくて
小さな待合室に大きいソファーと丸椅子が置かれ
みんなそこに小さくなって座っていた。
 
それに比べ、重厚感あるカウンターに綺麗なお姉さん。
広々とした待合室に、革張りの椅子が間隔を空けて並んでいた。
そして、受付のお姉さんが優しい。
そういうところも大事。
もちろん採精子も完備。
 
婦人科での精液検査の結果は持って行ったけど、改めて採精と、旦那の血液検査を行い帰宅した。
 
精液検査、自費負担で5500円なり。
婦人科の時は保険適用で700円でした。
内容もきっと違うのだろう、きっと。たぶん。
 
後日、二人で検査結果を聞きに再度クリニックへ。
 
結果、精子ゼロとのこと。
でしょうね。
 
閉塞性無精子症と、非閉塞性無精子症の説明をうけ、連携している男性不妊専門のクリニックを紹介してくれるという話になった。
 
ここでは手術しないのかと思ったが
とても腕がいい先生だと説明を受け、それならと納得した。
 
帰りに受付で支払いを済ませ、次回予約はなかった。
 
次回ここに来る事はあるのだろうか
そう考えると、少し寂しい気持ちになった。
 
 

→■9. 非閉塞性無精子症の診断

【無精子症闘いの記録 目次】

■7. サプリを飲み始める

無精子症がわかってから、旦那はサプリを飲み始めた。
言い出したのは、旦那から。
 
エビオスを飲むと精液がめっちゃ出るらしい!
本当かどうかはわからないが、調べたら悪いものではなさそうなので購入した。
 
例え精液が増えたとしても、無精子は無精子のままなのでは?
そう思ったが、せっかく自ら調べてくれたのだから水はささないようにした。
 
その後、亜鉛もいいらしい!!
と報告してきたので、亜鉛も購入した。
 
普段マメではない人なので、毎日きちんとではなかったが、割と頑張って飲んでいた気がする。
わたしも、アーモンドがいいらしいという情報と、ビタミンCも一緒にとるのがいいらしいという情報から、
ナッツとアセロラジュースを購入して毎日2人で口にするようになった。
 
ちなみに、私は葉酸だけ結婚前から飲んでいる。
葉酸は妊娠しやすくなるわけではないけどね。
友達の会社で、道端アンジェリカの講演会をやるから来てくれと頼まれて行った時に
妊娠前から葉酸を飲む事を講演会の中でお勧めされ、飲んでいた。
アンジェリカのおかげで、葉酸の摂取は万全である。
 
果たしてこのサプリ達に効果があるのかはわからない。
ただの気休めかもしれない。
でも、自分が手を出せる範囲なら頑張っていきたいと思い毎日飲み続けている。
 
 
 

→■8.ARTクリニックへ

【無精子症闘いの記録 目次】